今さらながら『ロッキー』について語りたい
スポ魂の皮をかぶった壮大な人間ドラマ
あらすじ
フィラデルフィアに住む三流ボクサーのロッキーは生活のために、知人の高利貸しの取立として生計を立てていた。才能はあるのだがボクシングに打ち込まない彼にジムのコーチであるミッキーに愛想をつかされてしまう。そんなロッキーだが近所のペットショップで働くエイドリアンに恋心を抱いており、それを糧に生活を送っている。そんな中突如ロッキーに、ヘビー級世界チャンピオンであるアポロ・クリードとの対戦が決定する。アポロとの試合が決定してから、試合に向け今までにない練習をこなすロッキー、その姿に感化され周りの人々のロッキーに対する態度も変化し始める。ロッキーは絶対に勝てないと口にするも、支えてくれた人たちの思いを背負いリングに上がることを決意する。
監督
ジョン・G・アヴィルドセン
脚本
CAST
タリア・シャイア(エイドリアン)
バード・ヤング(ポーリー)
バージェス・メレディス(ミッキー)
カール・ウェザース(アポロ・クリード)
2018/11/27現在ではアマゾンプライムビデオでプライム会員は見れるので会員の方はどうぞ
映画といったらCG・ワイヤーアクション当たり前の作品で育った20代なので、正直2000年以前の古い作品に対して食わず嫌いみたいなところはどうしてもあるんですが…今度19年1月11日に『クリード2』の公開されるというので『クリード チャンプを継ぐ男』含めてロッキーシリーズ見直そうかなと思ったのが『ロッキー』を見た経緯であります。
観る前はロッキーがボクシングで成り上がっていくスポ魂映画かなとか思ってましたが、そんなに甘いものではなかったですね。当時のアメリカでとてつもない人気だったのも、その熱狂が日本にも伝わったのがうなずけるストーリーです。
最初ロッキー・バルボアって人物は本業のボクシングに真剣に取り組まなかったり、取立屋で生計を立てたりと、正直立派な人物ではないんですよね。ただストーリーの中で道端で不良とたむろしている少女に説教しながら帰ったり、バーのマスターがテレビに映るアポロを馬鹿にしたときに、彼の内面を見てフォローするなどところどころに彼の本来の人の良さを表現しながら話が進んでいくところとかがいいんですよねぇ(しみじみ)。
私が一番好きなシーンはアポロとの試合が決まる前にジムでミッキーと言い合うシーン、ミッキーが取立の仕事をしている理由をロッキーに聞いた場面で
ロッキー”For living”(生活のためだ)
ミッキー”It is waste for life”(それは人生を無駄にしてるぜ)
生活のために仕事をする事は人生を無駄にしてるんですね...なんとなく最近の社会の傾向と通ずるところがありますね、やりたいことを仕事にしなさい的な風潮がここ最近強いですから。40年以上前からこういった生き方が正しいという話が書けるスタローンはすごい天才ですね。
この映画何が驚きって、脚本がスタローン本人なんですよね。あのロッキーとエイドリアンのラブシーンをスタローンが考えたのかと思うと作家としてのスタローンの才能に嫉妬しますね。ラブシーンまでの描き方とか、情熱的で切なくてそれでいてエロティックなラブシーンなんで、ただのスポーツドラマとして見ていたら面食らうラブシーンです。
アポロとの試合でロッキーはアポロにボコボコにされちゃうんですよね、映画見る前はロッキーってめちゃくちゃ強いイメージだったので驚きましたね。ボコボコにされちゃうだけどもあきらめずに戦っていたらアポロの脇腹にたまたま一発入れられてダウンを取れるんですが、これはスタローンが『ロッキー』の執筆をするきっかけとなった「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦でのウェプナーの一撃を描いているんでしょうね。
ラストで目がはれ上がって前が見えないロッキーが”エイドリアーン”と呼び続けるシーンもそれまでのストーリからたどってくるととても感動的です。序盤のエイドリアンはものすごい内気で、弱気な性格なので愛するロッキーの試合なんて見れる様な人ではなんですけど、ロッキーの影響で成長した人として描かれ最後にはロッキーの元に駆け寄って彼を支えていく女性となっているのがまた感動的です。
ロッキーの制作秘話みたいなのは調べればたくさん出てくるのですがこれ以上長くなるのもあれ何で書く気になればその時に
『ロッキー』自分と同じ20代にんには馴染み無い映画だとは思いますが、今でも伝わる人情ドラマといいますか、感動・面白いと感じられる作品であるのでぜひ。